ナットクラッカー症候群

ナットクラッカー症候群:腹部大動脈と上腸間膜動脈の間に、左腎静脈挟まれることで圧迫される。そのせいで左腎静脈の圧が更新して症状を来す。

左腎静脈は解剖学的に右腎静脈より3cmほど長く、腹部大動脈を乗り越えて下大静脈に流入しないといけないことが原因。

やせ型の若年層に多い。急速な身長の伸びを呈する思春期男子に多い。腎盂発達が未熟なことも一因になる。体が成長して脂肪組織がついてくると改善することもある。

腰をかがめる姿勢などで左腎静脈が圧迫されて起こることもある。かがむ時間が長い相撲やラグビーのスポーツの後に肉眼的血尿がでることもある(相撲やラグビー選手は体格よさそうだが)。

一般的な症状は血尿。非糸球体性の血尿が多い。時に起立性蛋白尿の原因になる。腎静脈圧上昇による静水力学的圧力によって糸球体バリアを通過し、蛋白尿を来す可能性がある。

ナットクラッカーが左側腹部痛の原因になることもある。疼痛管理、腹腔神経叢ブロック、左腎静脈ステント留置をすることがある。

男性では精索静脈瘤の主たる原因になる。女性で左卵巣静脈の逆流を合併すると骨盤うっ滞症候群や陰部静脈瘤の原因となる。

診断基準の一例:下記を満たす場合にナットクラッカー症候群と診断する。

①血尿と腰背部痛の原因となる泌尿器科疾患がない

②上腸間膜動脈-大動脈間距離(nutcracker distance)が5㎜未満

③左腎静脈の最高血流速度が15 cm/秒 未満

④左腎静脈と下大静脈の圧較差が 4 cmH2O以上

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