PD 関連腹膜炎 リスク因子

SMAP法を行い、カテ留置から2か月たってから出口部形成をしたにもかかわらず、出口部からリークし、腹膜炎を発症した症例を経験しました。

そもそも、初回のPD関連腹膜炎になるリスク因子についても知っておかないといけないと思い、読んでみました。

Ljungman S, Jensen JE, Paulsen D, Petersons A, Ots-Rosenberg M, Saha H, Struijk D, Wilkie M, Heimbürger O, Stegmayr B, Elung-Jensen T, Johansson AC, Rydström M, Gudmundsdottir H, Hussain-Alkhateeb L; Peritonitis Prevention Study (PEPS) Trial Investigators. Factors associated with time to first dialysis-associated peritonitis episode: Data from the Peritonitis Prevention Study (PEPS). Perit Dial Int. 2023 May;43(3):241-251. doi: 10.1177/08968608231161179. Epub 2023 Apr 5. PMID: 37021365.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37021365/

PD 関連腹膜炎のいくつかの危険因子が報告されているようです。

介入不可能として、

 ・高齢、男性、民族性、社会経済的地位が低い、糖尿病、冠状動脈疾患、慢性肺疾患などが挙げられ

介入可能な危険因子として、  

 ・ PD 実施時の無菌操作からの逸脱、肥満、低カリウム血症 などが挙げられます。

CAPD の患者はAPD の患者よりも腹膜炎のリスクが高いことも判明しています。これは、機械でのバック切り離し操作が入る分、手指からの感染を防げるというメリットがあるからかと思います。

今回の。この論文では、2010年1月から2015年12月までの間、ヨーロッパの57施設の671人の患者が参加していました。

患者はPDを開始してから1、3、6、12、18、24、30、および36か月後に評価を受けています。

それによると、腹膜炎の発症は0.35 episodes/patient-yearで、

初回腹膜炎発症までの期間が短くなることと有意に関連した因子は、年齢、体重、BMI、退職、1日に使用したPDバッグの数(HR 1.35;95%信頼区間1.17-1.57)、血清アルブミン<3.5g/dL未満でした。1日に使用した透析液の量は、腹膜炎のリスク増加とは関連していなかったようです。

解析したグループ全体で、使用するバックが1つ増えるごとに、腹膜炎のリスクは32%増加した、というのが面白い点です。

PDの交換回数が増えるごとに腹膜炎のリスクが上がるのではないかとは感覚的にはありました。しかし、これまで他の研究ではあまり実証されていないという点は驚きでした。腎機能がある程度保たれている方は少ないバック交換回数で始めることに意義があるかもしれません。また、栄養状態が悪いような方は腹膜炎のリスクとは認識しておかなければいけないかもしれません。

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