NELL1 陽性膜性腎症

349例の膜性腎症の症例中、NELL1陽性は6例(1.7%)であった。

266例の一次性膜性腎症に限ると266例中5例(1.9%)でNELL1陽性であった。

91例のNELL1陽性について検討すると、IFでFull House Patternになるもの(0% NELL1 versus <1% PLA2R, p=1.0)やC3が染まるもの(78.0% NELL1 versus 91% PLA2R, Fisher’s exact test =0.002)はPLA2-R陽性の膜性腎症に比べて稀。

NELL1関連MN症例の95.5%がIgG1サブクラス染色で優性または共優性を示した。

電子顕微鏡を検討できた88例中、69例( 78.4%)で著明な足突起消失が見られた。NELL1関連MN症例ではメサンギウム沈着が多く(21/88例、23.9%、PLA2R:19/181例、10%、Fisherの正確検定 p=0.01)、内皮下沈着はなかった(0/88例、0%、2/181例、1%、p=1.0)。

111例の悪性腫瘍関連MNがのうち35例がPLA2R陽性、4例がTHSD7A陽性、30例がNELL1陽性であった。しかし、悪性腫瘍の有病率は、他のタイプのMNに比べてNELL1 MN患者の方がはるかに高い。例えば、NELL1陽性患者の33%が悪性腫瘍を有していた(30/91人)が、PLA2R陽性患者では4.2%(35/829人)、THSD7A陽性患者では10.8%(4/37人)でしか悪性腫瘍を合併していなかった。

NELL1陽性の膜性腎症で悪性腫瘍を合併している場合:NELL1陽性膜性腎症91例中、6例が前立腺がん、5例が乳がん、4例が皮膚がん、肺がん・腎細胞がんが3例ずつ。重複癌の可能性もある。

治療経過をフォローできた59例中20例(34%)が完全寛解に至った。59例中16例(27%)が部分寛解であった。59例中23例(39%)は寛解せず、蛋白尿の減少が50%未満であり、蛋白尿が1日3.5g以上であった。

NELL1関連MNに対する最適な治療法は確認できなかったが、基礎疾患である悪性腫瘍の治療が奏功した患者は、治療に対して良好な反応を示した

Kidney Int. 2021 Apr;99(4):967-976. 

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